
アイキャッチ画像出典:釣具のポイント
海岸沿いの岩場やテトラポッドなどでよく見かけるフナムシ。
知らない人が見たらゴキブリかと見間違える外見ですが、最近は自宅でペットとして飼育している人もいらっしゃるとか。
そんなフナムシですが、我々釣り師から見れば意外と有能な釣りエサとしての側面もあります。
今回は釣りエサとしてのフナムシについて解説してみたいと思います。
フナムシは実は万能エサ
出典:釣具のポイント
⑴フナムシの生態
フナムシは甲殻類、ワラジムシ目、フナムシ科に属する節足動物です。
あんな外見ですが、エビやカニの仲間ということになります。
数少ない陸上生活に適応する甲殻類の一種で、比較的温暖な地域の海岸に生息しています。英名ではWharf Roach(ワーフローチ)、直訳すると埠頭のゴキブリということですね。
大きさは最大で体長50mmにまで成長し、海に落ちても足を器用に動かして泳ぐことが出来ます。
寿命は3ヶ月〜4ヶ月程度と言われていますが、50mmもある大型はそんなに見かけないので、波にさらわれて海に落ちた際に魚のエサになったり、海鳥に食われたりなど寿命を全う出来るフナムシは少ないのではないでしょうか。
⑵フナムシで釣れる魚
フナムシは磯場やテトラポッドなどに多く生息しています。
自然界では波でさらわれたりして海に落ちたフナムシを魚が捕食しています。
そういうことなので、基本的にはフナムシが生息する磯場や防波堤で釣れる魚は高確率で釣ることが出来ます。
磯釣りでは、チヌ(クロダイ)、グレ(メジナ)、アイゴ、イシダイ、イガミ(ブダイ)、コロダイ、カンダイ、マダイなど磯釣りの対象魚はほとんど狙えます。
波止釣りでは上記の磯の魚以外にもガシラ(カサゴ)、アコウ(キジハタ)、ベラ、カワハギ、アジ、アイナメ、カマス、キビレなどが狙えます。
もちろん釣りの対象魚にはならないエサ取りと言われるスズメダイ、オヤビッチャ、フグなどもフナムシには食ってきます。
⑶大型のチヌが釣れる可能性も!?
今回のタイトルである大物のチヌですが、磯からのフカセ釣りやヌカダンゴを使った紀州釣り、波止からの落とし込み釣りや穴釣りなどでフナムシをエサにして釣れる可能性はあります。
ただし、フナムシは上記のように色々な魚が食ってきますので、大型のチヌだけを選んで釣ることは不可能です。
チヌを狙いながらも、色んな魚を釣るという感覚で釣りをすると楽しめると思います。
フナムシの獲り方
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⑴ペットボトルを加工して捕獲する方法
この方法は獲るというより罠を仕掛ける感覚で出来ます。
- 1.5リットルか2リットル入りの空のペットボトルを用意します。
- ペットボトルの胴から飲み口にかけて細くなっている部分の少し胴側をカッターで上下に切り分けます。
- 切り分けたペットボトルの飲み口部分を逆さまにじょうごのように重ねると出来上がりです。
- ペットボトルの中に食べ物の残りやオキアミ、魚のアラなどを入れて、テトラポッドや岩場の隙間などに挟んでおけばオッケーです。その際、ペットボトルの内側にサラダ油などを塗っておきましょう。
- ペットボトルの胴部分に黒いビニールや布を巻きつけると暗い所が好きなフナムシは警戒心がなくなり入り易くなります。
このペットボトルの罠を仕掛けておき、普通にエサ屋で購入したエサで釣りをしながら、フナムシがある程度確保出来たら、フナムシをエサにした釣りに切り替えられるので、釣りをする時間を割く必要がありません。
⑵玉網を加工して捕獲する方法
こちらの方法は⑴の待ちの捕獲法に対して、攻めの捕獲法となります。シンプルで勝負が早いのですが、壁面が平らな波止でないと獲りにくいことと、うまくフナムシの群れを見つけないと苦労の割には獲れないこともあります。
- 玉網の枠と同じくらいか、枠より少し大きめの布製の袋を用意します。出来ればポリエステルなどのツルツルした生地のほうが良いです。
- 玉枠に布袋の口を巻き付けて、5cm〜7cmおきくらいにホッチキスで止めます。
少々手荒に扱っても玉枠から袋が外れないようにしてください。玉枠に魚を掬う用の網が付いている状態で作る時は、布袋は網の内側に取り付けてください。 - 後は、波止場の壁に集団でへばりついているフナムシを見つけたら、布袋がついた玉網でフナムシの集団の下の方から上に向かって、壁沿いを壁から離さないようにガーッと引きづり上げます。
- フナムシが入ったら、フナムシが逃げないように布袋の真ん中あたりを握って口を塞ぎます。
- カゴビクや蓋付きポリバケツなどにフナムシを入れてキープします。
大きな群れを見つけられれば、4回〜5回くらい同じ作業をするだけで、撒き餌とサシエに使う分は確保出来ると思います。確保したフナムシはカゴビクに入れておくと、逃げられる心配もなく、出し入れも簡単です。
時々カゴビクごと海水に浸けるか、水汲みバケツなどで海水をカゴビクにかけてあげると、フナムシが弱りません。
捕まえたフナムシを餌にして釣ってみよう!
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⑴フナムシの針の刺し方
フナムシで釣りをする際の針への刺し方ですが、1番外れ難くい刺し方は通し刺しになります。
お尻の部分に針先を入れ、針のカーブに沿って刺していきます。
フカセ釣りで仕掛けを少し遠投する時などはこの刺し方をすると投入時に針から外れることは少なくなります。
ただダンゴムシが丸まったようになるので、海中での魚へのアピール度は低くなります。
少しでもアピール度を高める為に同じ通し刺しでも腹側(足が付いてるほう)を外向きに通し刺しする方法もあるので、使い分けてみてください。
もう一つの刺し方はチョン掛けです。
お尻から1cmくらいの腹側から針先を入れ、背中から針先を出します。
通し刺しに比べるとフナムシが弱り難く、ゲジゲジのような足がバタバタと魚にアピールしてくれます。
難点は通し刺しに比べると針から外れやすいので、遠投には不向きです。
また針の通っていないフナムシの端っこをかじられることが多くなるのでエサ取りには弱くなります。
フナムシをエサにする際の釣り針については、フナムシだからといって特別な釣り針があるわけではありません。
メインターゲットがチヌならチヌ針の2号〜4号、グレならグレ針の5号〜7号くらいを使えば良いでしょう。
おすすめのチヌ針はこちら。
グレ針ならこちらがおすすめ。
⑵フカセ釣り
フカセ釣りは円錐ウキを付けた軽い仕掛けで、撒きエサと刺しエサを同調させながら、潮に乗せて仕掛けを流していく釣り方です。
チヌ以外にもグレやアイゴなど潮通しの良い磯や波止から釣るのに適しています。
タックルは磯竿の1号〜2号クラスで長さは5m前後のものが使い勝手が良いでしょう。リールは2000番〜3000番クラスで、チヌやグレの大型が食ってきた時のことを考えるとレバーブレーキ付きのリールがベストです。
釣り方は捕獲してカゴビクに入れているフナムシを7匹〜8匹鷲づかみにし、潰れない程度に軽く握って弱らせたものを撒きエサとして撒きます。フカセ釣り仕掛けにフナムシを付けて、撒きエサと同じルートを流れるように仕掛けを投入してアタリを待ちます。
要は、オキアミを使ったフカセ釣りのエサをフナムシに変えるだけで、フナムシだからといって特別変えるところはありません。
撒きエサは1度に大量に撒く必要はありませんが、パラパラと絶え間なく撒き続けるのがコツです。
フカセ釣りでチヌ狙いにおすすめの磯竿はこちら。
フカセ釣りおすすめリールはこちら。
フカセ釣り用の円錐ウキはこちら。
⑶ダンゴ釣り(紀州釣り)
ダンゴ釣りは夏場のエサ取りの多い時期に、エサ取りを避けながら効率よく釣る方法です。
和歌山が発祥の釣り方なので、一般的には紀州釣りと言われます。
タックルですが、竿やリールはフカセ釣りと同じ物で構いません。
ウキがフカセ釣りの時の円錐ウキを環付きタイプの棒ウキや玉ウキに変えるだけです。
釣り方はヌカ5、粗挽きサナギ2、砂2、押し麦1(場合によってはアミエビを0.5程度)を混ぜ合わせて、海水を加えたダンゴの素を作ります。
最初に仕掛けがなじむと棒ウキの頭が5割程度海面から出るようにオモリを調整します。
ウキ下はダンゴが海底に到着したら、棒ウキの8割程度が沈むくらいに調整します。
刺しエサのフナムシをダンゴで包み、野球のボールより少し小さめくらいの大きさに握ります。
おにぎりを握る時に梅干しを入れて握る感じです。(例えが不適切かも知れませんね^^;)
リールをフリーにしてダンゴを手で投げるか、ダンゴ投入用のシャクに入れて投げ込みます
海底でダンゴが割れるとウキが5割程度まで浮いてくるのでそのままアタリを待ちます。
コツは水加減と握り加減でダンゴが着底後5秒程度で割れるように調節することと、常に同じ所にダンゴを投入し、ポイントにチヌを集めることです。
ウキ下はチヌ狙いなら底、グレ狙いなら中層でダンゴが割れるようにすると良いでしょう。
因みに中層でダンゴを割る釣り方は紀州釣りとは言わず、ヌカ切りといいます。
紀州釣りにおすすめの棒ウキはこちら。
ダンゴ投入用のシャクはこちら。
配合済みで水を加えるだけの便利なヌカダンゴはこちら。
フナムシをエサに大物を釣り上げよう!
出典:釣具のポイント
以前大量のフナムシを沖磯に持ち込み、撒きエサとして撒いていると、グレやイシダイが撒きエサのフナムシを食いに水面を乱舞していたという話を聞いたことがあります。
フナムシを確保するのに少し手間はかかります。
しかし、それ故にやる人が少ないので、手間を惜しまず実践してみると良い思いが出来る可能性を秘めているフナムシを使った釣り。
是非あなたも試してみてはいかがですか?
それでは、Enjoy your fishing life!