
アイキャッチ画像出典:釣具のポイント
潮の満ち引きと釣りの関係は非常に奥深く、釣り人にとっては是非知っておきたいことのひとつです。
潮が満ちている状態を「満潮」と言い、逆に潮が引いている状態を「干潮」と言います。
満潮の時は海水の量が増えて、干潮の時は減ってるという訳ではなく、地球上の海水が移動することによって海面の水位が上下しています。
こうした海面が上下する現象を潮汐(ちょうせき)と言います。
釣りをする上でこの仕組みを理解すると釣果アップにつながるヒントが多いので、潮の満ち引きについての理解を深めていきましょう!
釣りと潮汐の関係
出典:釣具のポイント
釣りと潮汐の関係は潮が満ちるとか引くということだけではありません。
潮の満ち引きによって海水が移動する際に潮が動く(流れる)ことによって魚の活性に影響を与えます。
潮汐の話の前に魚の生態について少し説明します。
魚は口から吸い込んだ海水をエラ蓋から排出する際に海水に溶け込んだ酸素をクシ状のエラで体内に取り込んで呼吸しています。
海中の酸素量が少ない状態になると魚は酸欠状態になります。
また、海水に流れがあると魚は潮上(潮が流れてくる方向)を向いているだけで口に大量の海水を取り込めて呼吸が楽になります。
呼吸が楽になると活動的になり食欲も湧きます。つまり潮が動いているほうが魚は積極的にエサを食うということです。
これは人間も同じです、息苦しかったり悪臭のするような場所では空腹でも食欲はわきませんよね。
特に青物と言われる回遊魚は遊泳力と持久力に優れています。
その分これら回遊魚は大量の酸素を必要とする為に常に泳いでいます。
青物や回遊魚が潮通しの良い沖合いや、潮の良く動く日に釣れるのは、酸素の供給量にも関係してると思われます。
潮汐を理解することによって潮の動きを予想して行動することが出来ます。
つまり釣り人にとって潮汐を理解することは、釣行計画を立てたり釣りをしている最中により集中力を高めて釣りをする時間帯を予測することが出来るようになり、釣果にも影響してきます。
潮の満ち引きはどうして起こる?
出典:釣具のポイント
潮の満ち引きは月の引力と地球の自転によって起こります。月は地球の周りを回っている衛星です。
月に1番近い地点が最も月の引力が強く影響して海面が月の引力により引っ張られます。そうなると海面が上昇し満潮となります。
そして、同時に満潮になっている地点の地球の反対側も同じように満潮になっています。
それは月の引力が1番弱い為、地球の自転による遠心力の影響が強くなり海面が上昇すると言われています。
上記の満潮2地点の中間点が干潮となります。
例えれば、地球を球形のソフトボールとして、海面を楕円形のラグビーボールとします。
ラグビーボールの中にソフトボールを入れた状態を想像してください。
ラグビーボールのとんがった部分が満潮、とんがった両端の中間点が干潮となります。
⑴一日の潮のサイクル
地球は自転しており、1日で1回転しています。
1回転のうち月に1番近い状態の時と、その約12時間後の月の反対側の時に満潮を迎えます。
干潮は満潮の約6時間後、月に対して直角の位置に来た時に迎えます。
基本的には24時間の間に2回の満潮と干潮を迎えることになります(例外の日もあります)。
満潮を迎えた海面は徐々に下がり始め、約6時間後に干潮となり、再び海面が上昇し始め同じく約6時間後に満潮を迎えるサイクルを繰り返します。
満潮の潮止まりから下げ始める時と、干潮の潮止まりから上げ始める時に潮が動くことが多く、魚の活性が上がることが多くなります。
いわゆる「上げ3分、下げ7分」に良く釣れると言われるのもこの為です。
満潮から下げ始めて2時間と干潮から上げ始めた2時間は集中して釣りましょう。
⑵1ヶ月の潮のサイクル
1日の干満で海面が上昇したり下降したりするわけですが、干潮時や満潮時の海面の高さは毎日同じではありません。
海面の高さは月と太陽の位置関係で決まっています。
月の満ち欠けは約29.5日で一回りします。
最初の新月から徐々に月が満ち始め、約2週間後に満月を迎え、その後再び月が欠け始め約2週間後の新月で1周期ということになります。
この満ち欠けにより海面の高さが日々変化することを潮回りといいます。
潮回りはおおよそ下記のようなサイクルになります。
- 大潮 1日〜4日目(新月)
- 中潮 5日〜7日目
- 小潮 8日〜10日目(上弦)
- 長潮 11日目
- 若潮 12日目
- 中潮 13日〜14日目
- 大潮 15日〜18日目(満月)
- 中潮 19日〜21日目
- 小潮 22日〜23日目(下弦)
- 長潮 24日目
- 若潮 25日目
- 中潮 26日〜29日目
- 大潮 30日〜(再び新月)
満月と新月の時が月と太陽の両方の引力が合致するので、干満の差が大きくなり、下弦の月と上弦の月の時が月と太陽の引力が相殺されるので干満の差が小さくなります。
基本的には干満の差が大きいほど、潮が上げていく際や下げていく際の潮の動きは早くなります。
それぞれの潮回りの特徴
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潮汐と潮回りについて説明しましたが、それぞれの潮回りの特徴について説明します。
⑴大潮の場合
大潮の場合は干満差が大きく、潮が満ちる時も引く時も大きく潮が動くことが多くなります。
魚の活性は上がりやすくなりますが、場所によっては潮の流れが速すぎて激流になる所もあります。
海峡になっている地域や、島や埋め立て地との水道筋になっている場所などは潮の流れが速すぎて釣りにならない場合があります。
河口付近の釣り場も大潮の日は潮の流れが速すぎて釣りにくい場合がありますので注意が必要です。
そういった潮の流れの元々速い釣り場は小潮の日を狙ってみたり、潮止まりの時間帯を狙ってみたほうが適度な潮の動きで釣りやすくなる場合もあります。
また大潮の干潮時は大きく潮が引くので、遠浅の砂浜や水深の浅い釣り場ではほとんど魚がいなくなってしまいます。
満潮前後を狙うなど事前に計画を立てることも釣果をあげるコツです。
磯釣りをされる場合も大潮の日は注意が必要です。
潮が引いているうちは歩いて渡れた磯が満潮になると水没してしまうこともあるので、事前にその日の満潮時の水位を調べておくと良いでしょう。
⑵中潮の場合
中潮は大潮ほどの干満差はありませんが適度に潮が動き、釣りには適していると言えます。
私も大潮の後の中潮の日が好きなので、スケジュールが合えばその日を釣行日にしたりしています。
上げ3分下げ7分の時間帯が、朝まづめや夕まづめとピッタリ合うような日は良い釣りが出来る可能性はかなり高いと思われます。
⑶小潮の場合
小潮の場合は干満差が少なく、潮が満ちる時も下げる時も潮の動きが小さくなります。
基本的には魚の活性は上がりにくいと考えられます。
但し、元々潮の流れが速い海峡に近い釣り場や水道筋に面した釣り場などでは、釣りをするには適した流れになることも多く、わざと小潮の日を狙って行くような釣り場も存在します。
また、タチウオなどの泳ぎが比較的苦手な魚なんかも潮の流れが緩い小潮の日のほうが食いが良いと言われています。
⑷長潮&若潮の場合
長潮と若潮の日も干満の差は小さく、干満が2回ずつない日もあったりして潮の動きは不安定な日が多くなります。
長潮がほぼ小潮に近い状態、若潮が中潮にやや近い状態と言えるでしょう。
ただ1ヶ月のうちで長潮と若潮は2日ずつしかありませんので、その日に釣りに行く確率はかなり低くなります。
その他の潮の話
出典:釣具のポイント
潮汐とは関係ありませんが、釣りをする上で悪影響を及ぼす潮について少し説明します。
⑴赤潮とは
赤潮とは植物性プランクトンが異常発生して起こる現象です。
比較的陸地に近い湾内など水深が浅く潮の流れが緩やかな場所で発生します。
生活排水や工場排水などが流れ込んだ海で、富栄養化が進み植物性プランクトンが急激に増殖すると起こります。
赤潮が発生するとその地域の海中の酸素濃度が下がり、回遊性の魚は他の地域へ逃げて行ってしまいます。
回遊性がなく根や棲家近辺の狭い範囲で生息している魚は活性が下がり良い釣果は期待出来ません。
ただ赤潮は地球規模の潮汐と違い、地域的な現象なので、赤潮に遭遇した際は思い切って場所を移動してしまうのも手です。
⑵青潮(苦潮)とは
赤潮よりはあまり耳にしませんが青潮は赤潮以上に深刻です。
大量発生したプランクトンが死滅し海底に沈殿すると、それがバクテリアによって分解される段階で大量に海中の酸素を消費します。
この状態が続くと潮の流れの少ない海底付近の海水は極めて溶存酸素量が少ない貧酸素水塊になります。
この状態になると、海底に生息するカレイやハゼなどの魚が苦しそうに海面に浮いて口をパクパクしてきます。
とても釣りどころではありません。
この状態から更に悪化すると、プランクトンの死骸に含まれる硫黄分や海中の硫酸イオンを細菌が還元させ大量の硫化物を発生させます。
そうした硫化物が酸素に触れると青い色になります。見た目は美しい青色ですがそれは死の海となり魚は元より海底の貝類までも死滅してしまいます。
青潮の場合も赤潮同様に場所移動する以外釣果は期待出来ません。
⑶水潮(2枚潮)とは
水潮とは河川の近くや大雨の後などに淡水が大量に海に流入することによって起こる現象です。
淡水に比べ海水のほうが比重が大きいので、流入した淡水は上層部に集まります。
淡水と海水が2層になった場合2枚潮という表層と中層以下の流れのスピードや方角が違ってくることが多々あります。
こうなると撒き餌を撒いて釣るようなウキ釣りやフカセ釣りでは、ウキが表層の流れにどんどん流され、撒き餌と刺し餌の同調が難しくなります。
こういった場合や仕掛けやライン操作のテクニックを駆使して、仕掛けが底潮の流れをとらえるようにしないとなかなか釣れません。
釣れる潮回りは?
出典:釣具のポイント
では、上記の潮汐や魚の活性を考慮して釣れる(釣れそうな)潮回りや条件、実釣の際の心掛けることを整理してみましょう。
- 潮回りは約2週間で1巡する。
- 満潮と干潮は約6時間ごとに訪れる。
- 上げ3分下げ7分はチャンス!満潮後2時間と干潮後2時間は集中しよう。
- 朝夕のまづめ時と上げ3分下げ7分が重なる時はゴールデンタイム。
- 潮が良く動くのは大潮→中潮→小潮の順。
- 元々潮流の速い場所は小潮や潮止まりが狙い目の場合もあり。
- 止まっていた潮が流れ出したり、右に行ってた潮が左に行ったりなどの潮の動き始めはチャンス。
- 潮が動くと潮目が出来やすい、流れの真ん中より潮目を探して釣ろう。
- 魚は基本的には潮上を向いている、自分の釣り座の潮下の魚を釣ることを考えよう。
- 水潮(2枚潮)の時は表層流れに惑わされず、底潮を釣ろう。
潮汐情報を腕時計で知ることができる
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リュックやフィッシングベストに取り付け可能なタイプの時計もあります。
潮を読んで釣果アップを目指そう!
出典:釣具のポイント
基本的には干満の差が大きいほど潮の動きが活発になり、潮が良く動くほど魚の活性も上がるということになります。
しかし自然はそんなに単純なものではありません。
いくら潮が動いても動く方向によってはさっぱり釣れない場合もあります。
また、地形や水深、水温、波の有る無し、陸上の気温や風などによっても魚の活性は変わります。
結局のところは同じ釣り場に通い詰めて、色々な条件下での釣りを経験し、その釣り場に精通すると自然と良く釣れる潮回りが分かるようになります。
釣りが上達すると言うことは仕掛けや竿さばきのテクニックと、ポイントや潮回りなどの釣れる条件の引き出しを増やすことです。
それでは、Enjoy your fishing life !